最近は紙と機械と、対話する日々が続いています。
独り部屋で仕事をしていると、どこからともなく妄想がしのびこみます。
この紙の名前は何だかテニス選手みたいだな、と思いはじめると止まりません。
名前を聞くとなぜか動物の象を思い浮かべてしまう紙
スプーンですくうとさっぱりしておいしそうな名前の紙
本当は優しいのに冷たいふりしかできない不器用な和風美女みたいな紙、
お人好しで、いつも調子にのりすぎて失敗してしまう憎めない紙や
きらびやかで人を楽しませる才能を持ち、親しみを感じさせる紙、
近未来から来たポリスみたいな紙、スマートでそつがないのにちょっぴり内気な英国紳士の紙、
平安時代のすだれの奥のかぐや姫の紙、人工衛星みたいな名前の紙、
オレンジやパインのフレッシュな果実の入ったバニラアイスの紙、
都会に染まる前の、健康的に日焼けした肌の初心なお嬢さんみたいな紙、
個性的な性質で他を寄せ付けない、哀愁の一匹狼もいれば
なんにでも適応できる、普通の高校生みたいな紙もいます。
こうして見てみると、紙には確かに個性があります。
人間に似ています。
紙といっても色も質も様々で、たとえ一見色が似て見えても
ずっと近くで見ていると、印刷したときの細かな色ののりも、印刷機にとおるときの音も
明らかに紙ごとに違うのに気づきます。
何も語らないおとなしい紙が、うちに秘めている言葉なき存在感。
機械もまた黙々と動いていますが、無意識に気持ちが同調してくるのか
まるで一緒にいて同じ気持ちでいるかのような
不思議な感覚になってきます。
機械とも、人間と同じように、つきあいかたというものがある気がします。
印刷を待つ間、パソコンの小さな箱のなかで
少しだけ紙のデザインの美術館めぐりをしました。
空を飛ぶ名刺、
コインをつめると豆鉄砲の様にはじき飛ばせるという、スパイが持っていそうな危ない名刺
組み立てるとオシャレなイスになる名刺など、
アイディアあふれる作品を鑑賞しました。
それにしても面白いですね、この名刺★かわいい~!!